こんばんは
いつもはさみを愛用していただきまして
誠にありがとうございます。
今回はセニングの
ちょっとした疑問を
今まで
「セニングは他で研いだほうが、
ぬけがよくなる」
という意見を何度かお聞きした
ことがございました。
見事なトギをされている
研ぎ師さんももちろん
おられましたが、なかには
棒刃を必要以上に削って、
細くしている。
というのも多く見かけました。
理論はこうです
棒刃を削って細くすることによって、
刃を閉じた時のクシと棒の隙間(空間)が
※マジックで印部分
広く大きくなり、
ぬけが良くなるというカラクリです。
ただしこの治癒方法だと、
極端にハサミの寿命が縮まります。
そして、そのトギを重ねていくうちに
棒刃の厚み(耐久性・力強さ)<ぬけのよさ
の関係が崩れて逆転して‥
ここまでなりますと
空間・隙間が広い以前に、
刃の先端の力が、砥いでも
毛に力負けして切れません。
昨今、「ぬけ」「かるさ」「やわらかさ」
を追求し、クシ刃の形状に
目が行きがちですが、
セニングにとって棒刃は心臓部分です。
私たちメーカーは最小限のダメージで
その人に合った最良の方法で、
研摩させていただいてます。
人間に例えると、
「切除しなくていい所まで、
たくさん摘出して余命を縮める」
といった治療と同じようなかんじで、
おすすめできません。
ただ、人の命とは違う
新しいのをまた買えばすむ
という考えの方もお有りだと
思いますので、何とも言えませんが、
「ぬけを良くしたいんです。
ただ、棒刃は細くしないでください。」
というのが
「通」の方のオーダーの仕方かも
しれません。
ありがとうございました。
またハサミの世界でお逢いしましょう。